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KBSについて

2008年10月07日

池尾 恭一(経営管理研究科 前委員長)

経営管理研究科は、1978年に、それまでの慶應義塾大学ビジネススクールの1年生課程を発展的に解消し、わが国最初の2年制MBAコース(大学院修士課程)として設立され、さらに1991年には、経営に関する研究教育者養成を目的とした博士課程を併設し、今日に至っています。

経営管理研究科のMBAコースは、慶應義塾建学以来の実学の精神のもと、それぞれの時代に応じた、ビジネスリーダーの育成に努めてきました。

そして、いまわが国は、戦後の高度経済成長、安定経済成長、バブル経済崩壊後の経済停滞を経て、新たな成長のためのビジネスモデルやマネジメント・スタイルを確立する時期に至っています。そこでは、経済のグローバル化や情報通信技術の飛躍的な発展はいうに及ばず、人々の価値観や規制環境などのめまぐるしい環境変化のなかで、専門的マネジメント能力の重要性はますます高まっているものと思われます。

そうしたなか、経営管理研究科では、「新時代において変革を先導しうるビジネスリーダーの輩出」という教育目標を掲げています。

この新時代の変革リーダーには、経済社会や企業経営のあり方がいかに動いていくかの仕組みを理解すること、それによって短期的な動きや浮き沈みに近視眼的に惑わされることなく、なにが変わりなにが変わらないのかを見通せる確かな目をもつこと、さらにそれらに基づき、未来への構想がいつでも描ける見識を得ることが、なによりも大切でしょう。変化の激しい今日のビジネス環境において絶えざる変革を可能にする変革リーダーは、この構想力をもってこそ、可能になるものと考えます。

このために、経営管理研究科のカリキュラムは、大きく分けて、基礎科目、専門科目、ゼミナールの三つの部分から、構成されています。

まず、基礎科目は、マネジメントに関わる主要8領域について設けられています。本研究科の学生は、1年次にこの8科目のすべてを履修することにより、経営全般にわたる専門的マネジメント能力の醸成が図られます。

これら基礎科目は、本研究科の特徴の一つであるケースメソッドを全面的に採用しています。ケースメソッドでは、受講者一人一人が、様々な時期、地域、業界の具体的事例に触れ、考え抜くことによって、専門的マネジメント能力として、経営管理の基本や諸側面に関する理解を深めるとともに、変わりゆく環境において変化を見極めるいわば動体視力と、創造力を生む知恵を身に付けることが目的とされています。

次に、専門科目では、「連携」をキーワードに、様々な教育プログラムが用意されています。

連携の第1は、学界との連携であり、高度な研究能力を有する本研究科教授陣による、最先端の研究成果を活用した教育です。

第2は、実社会との連携です。経営管理研究科の専門科目では、講義やケースメソッドに加え、様々な実務家の方々による講演や演習、あるいは企業調査、顧客調査、コンサルティングなどのフィールドスタディを重視したものも少なくありません。また、こうしたフィールドスタディに主軸をおいたフィールド科目も提供されています。

第3は、海外との連携であり、海外ビジネススクールから教員招聘、そして海外ビジネススクールとの国際単位交換留学プログラムが行われています。国際単位交換留学プログラムでは、現在22の海外有力ビジネススクールと協定が結ばれ、毎年多くの本研究科学生が海外のビジネススクールで学び、また多くの海外ビジネススクール学生が本研究科で学んでいます。

第4の連携は、他研究科との連携であり、既に本塾医学研究科とのジョイントディグリー・プログラムがスタートし、両研究科共通の専門科目を履修することにより、MBA取得後、最短1年で医科学修士号を取得することが可能になりました。
こういった連携は今後も一層強化される予定です。

これらの専門科目によって、本研究科の学生は、関心のある専門分野により重点をおいて、より高度な知識、技法、理論を多彩な形で学び、それらによって、変革のための構想力に磨きをかけることになります。

さらに、本研究科のいま一つの特徴であるゼミナールでは、担当教員当たり最多でも6名以下の学生という少人数教育のなかで、密度の濃い議論により、典型的には、自ら問題を発見し、最先端の理論や技法を駆使して、問題解決を図る、といった形で、修士論文の執筆が行われます。

経営管理研究科は、その前身である慶應義塾大学ビジネススクールの1962年の設立以来、それぞれの時代が求めるビジネスリーダーの輩出を目指して、絶え間ない進化を遂げ、いまさらに、来るべき時代において変革を先導しうるビジネスリーダーの輩出のために、進化を続けています。

未来社会への変革リーダーを志す方々が、経営管理研究科の門を叩かれるのをお待ちしております。