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KBSと同窓会の連携

2011年5月2日
河野委員長の写真

KBSと同窓会の連携

慶應義塾大学大学院経営管理研究科 委員長
慶應義塾大学ビジネス・スクール 校長
河野 宏和

2009年10月から、KBSの委員長・校長に就任し、早くも1年半が経過しました。言うまでもなく、KBSは日本で最も歴史と伝統のあるビジネススクールとして、この4月からはM34期生を迎えています。同窓会も3300名を超える大所帯、さまざまな分野で活躍する人材が集まっています。2012年には、セミナー・プログラムをスタートして以来のKBS創立50周年、日本初のAACSB認証も昨年の更新審査に合格し、この4月にはヨーロッパの認証でるEQUISを日本で初めて取得しました。一見すると日本のトップビジネススクールとして、KBSは着実な地位を築いているように思えます。

しかし、私が委員長・校長に就任してから強く感じているのは、そうした歴史に甘んじて、自らの変革を忘れがちになるKBSの姿です。企業ニーズのヒアリング、セミナープログラムの勧誘周知、MBAを中心としたプログラムの広報、海外とりわけアジアのビジネススクールとの連携、グローバルスタンダードへの対応など、取り組むべき課題は山積しています。KBS、あるいは慶應というブランドに安心するのではなく、その価値をさらに一段二段と高め、日本の中では圧倒的な地位を築くこと、その力がKBSには充分にある、そう思います。しかし、同時に、しかし実行がなかなか追いついていないと感じています。

KBSが創立されてしばらくの間、日本でビジネススクールと言えばKBSしかありませんでした。しかし近年は、経営系の専門職大学院として、多くのビジネススクールが設立されています。多少広義にビジネスやマネジメントに関わる専攻も数えれば、100に近いビジネス関連のコースが存在しています。加えて、中国やインドでは、既にビジネススクールがそれぞれ500校を超えると言われています。もちろん、KBSは、ケースメソッドを中心とした質の高い教育を提供するトップスクールですが、安穏としていられる時代でないことは明らかです。日本経済の情勢が厳しいから、という言い訳は通用しないでしょう。ましては、この3月に起きた大震災からの復興を目指す中で、経済情勢を言い訳にすることは、厳しく戒められるべきと考えます。

特に、日本の中で差別化を考えるとき、カリキュラムの充実度、教育のレベル、学生のレベルはもちろん大切ですが、他校が絶対に真似できないのは、KBSが有する3300名を超える同窓生のネットワークです。KBSと同窓会が有機的に連携すれば、例えば同窓生によるビジネス最前線の講演シリーズ、同窓会ネットワークを活用した就職支援など、KBSの価値を高める活動が実現できると考えています。もちろん、同窓会との関係はgive and takeですから、例えばホームカミングデー、協生館施設の開放、あるいはリカレント教育など、KBS側が協力すべき場面も必要になるでしょう。同窓会との連携を一つの切り口として、KBSをさらに活性化していきたい、そう強く感じています。

KBSを少しでも良い学校にしていきたい、その想いから、従来の担当制に加えて、KBSがどんな学校であるべきかを改めて考える「ミッションコア」、企業ニーズをヒアリングし関係強化を図る「渉外」、KBSの認知度を高めるための「広報」、OB・OGとの連携の進め方を考える「同窓会」、という4つのタスクを立ち上げ、教職員の間で少しずつ議論していくように努めています。KBSの専門スタッフとして委員長室を設け、その中でも同窓会の活動をサポートしたいと考えています。KBSレポートを復刊し、久しぶりに顧問会を開催しました。こうした最近の動向は、できるだけ迅速にホームページにアップしています。まだまだ、やるべきことは沢山あります。OB・OGの力を借りながら、2012年秋の創立50周年に向けて、少しずつ前進していきたいと思っています。これからも、KBSへのサポートを宜しくお願い致します。