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第19回 ストラテジック・インサイト・セミナーのご報告 2011年(夏)

2010年5月31日

実施概要

ゲストスピーカー
早稲田大学ビジネススクール教授 内田和成氏
(前ボストン・コンサルティング・グループ日本代表)
テーマ
『異業種 競争戦略』
開催日時
2011年8月3日(水)19時~21時
開催場所
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)東京オフィス内
ニューオータニガーデンコート13F南 "多目的オープンスペース

当日はKBS-M5期、早稲田大学大学院教授の内田和成先生を講師にお迎えし、「異業種競争戦略」をテーマにご講演いただきました。以下はその要約です。

知識は陳腐化する、大切なのは気づきや知恵である。
大切なのは知識や理論を持った上で、どうするか(So what)を考えるヒントとして本日の話を聞いて欲しい。

企業間競争において、これまでであれば競争相手とは考えられなかった相手と戦う局面が、成熟市場の中で増えている。
これは異なるバックグラウンドを持つ企業が、異なるルールで、同じ顧客や市場を奪い合う競争という意味である。
このような競争における戦略を読み解くためには、従来の戦略検討フレームである「バリューチェーン」の上位概念としての「事業連鎖」視点を加えて考えることが有効である。

具体的には「事業連鎖」を考えることで異業種間競争がどこで、どのような相手と発生するか、またどのようなチャンスがあるかを、また「ビジネスモデル」を考えることで、具体的な戦いの内容を見通すことができる。そして、それら競争のパターンは「What」「Who」「Where」の3つのアプローチにより類型化することができる。

上記のような異業種間競争において勝ち抜くための戦略は、「事業連鎖の再構築」「競争環境の再認識」「ビジネスモデルの確立」「新しいルールの確立」という4つのステップにて構築するのが有効である。
そしてそれら戦略の構築から実行において不可欠となるのは、高いレベルのリーダーシップである。

最後に大好きなフランス文学者マルセルの言葉を皆様に贈りたい
「本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく、新しい目で見ることだ」

内田先生のご講演内容は当初テーマ設定のネーミングは「異種格闘技」だったところ、出版社の意見にて「異業種競争」に変更になったという裏話から本論である「戦略」の筋書きまで、経営コンサルタントとして、そして研究者・教育者として数多くの企業戦略の分析、構築と実行に携われたご経験に基づく説得力及び興味喚起に富むものでした。
そのため、当日の170名を超える参加者からは数多くの質問が飛び出し、閉会後も内田先生へのご質問とご挨拶の列が中々途絶えませんでした。
多忙な中でご講演を快くお引き受けいただいた内田先生に、改めて感謝を申し上げます。

尚、「異業種競争戦略」のより具体的内容について興味のある方は、是非先生の著書をご購入ください。

※第19回SISの(旧)ご案内ページはこちら。