ダブルディグリー・プログラムについて
2010年4月15日ダブルディグリー・プログラム
慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 前委員長 池尾 恭一
慶應義塾は本年創立150周年を迎え、それを記念して多くの事業や行事が行われています。多くの方々がご存じかと思いますが、その一環として日吉駅前に「協生館」と名付けられた建物が既に建設され、8月末にKBSもそこへ移転しました。KBSの教室は協生館の4階に、研究室は5階にそれぞれ入っております。厳しい財政事情のなか、広々とまではいきませんが、以前と比べればかなり余裕のある造りになりました。卒業生の方々には、是非お気軽にお立ち寄り下さい。
KBSにおける新たな動きは校舎だけではありません。ケース教育、教員による研究発信、ゼミナールによる少人数教育といったKBSの伝統は受け継ぎつつも、ビジネススクールである以上、常に新たなことを試みていく必要があるかと考えています。
今日はそのなかの一つとして、明年より導入を計画しております新しいプログラムをご紹介したく存じます。それは、フランスを代表するビジネススクールの一つESSECとの、ダブルディグリー・プログラムです。既にESSECとは、国際単位交換プログラム協定を結び、2年生の2学期にKBSの学生をESSECに送り、3学期にESSECの学生をKBSに迎えております。
今回のダブルディグリー・プログラムでは、KBSの学生は、1年次にKBSで、2年次にESSECでそれぞれ学び、修了にさいしてKBSとESSECの双方から学位を授与されることになります。2年間で二つの修士号を得るわけで、それゆえダブルディグリー・プログラムと呼ばれます。もちろん、ESSECからの学生も、1年次にESSECで、2年次にKBSで学ぶことにより、二つの修士号を受けます。ダブルディグリー・プログラムは欧州中心に広がりつつありますが、日本のビジネススクールではまだ数少ない段階です。
交換学生の人数はそれぞれ最大で毎年3名ですが、このダブルディグリー・プログラムは、KBSとESSECの双方に魅力を加えるとともに、わが国のMBA教育に新たな可能性をもたらしうるのではないかと考えております。
現在の段階でお示しできる試みはここまでですが、明年にはさらなるカリキュラム改革も計画されております。
世界のビジネス環境が大きく変化していくなか、KBSを取り巻く環境も慌ただしい動きを示しています。そうしたなか、未来を先導しうるビジネススクールを目指して努力を続ける所存でおりますので、卒業生の皆様には、どうか変わらぬご支援のほどをお願い申し上げます。