EMBAプログラム開設に向けて
2014年11月26日KBSは、今年、フルタイムMBAプログラムにM37期生を迎えています。1962年の創立以来、各種のエクゼクティブセミナーで18,000人を超える人材を育て、MBAプログラムでは3,500名を超える経営人材を育成してきました。その歴史から、また日本で唯一、AACSB(Association to Advance Collegiate Schools of Business)とEQUIS(European Quality Improvement System)の両方の国際認証を取得していることからも、KBSは日本のトップビジネススクールと言って良いでしょう。
経済社会が急速にグローバル化する中、経営人材に求められる能力は日々高度化しています。日本では、企業や組織の中核となる人材を育成する際、長期的な雇用慣行の中でOJTを重視する傾向が強く見られますが、欧米では多くのトップビジネススクールが中核人材を育てる学位プログラムを提供しており、それらの課程から広汎な知識を身に付け経営能力を磨いた人材が多数輩出されています。最近では、中国、韓国、東南アジアの有力ビジネススクールでも、Executive向けのMBAプログラムを提供する大学が増えています。KBSは、日本にも、ミドルエイジが現在の職責を全うしながら高度な経営能力を身に付けることのできるプログラムが必須であると考え、日本のトップスクールとして、これからの経済社会を先導する中核人材を育成することを目的に、2015年4月から新しい学位プログラムExecutive MBA(通称EMBA)をスタートします(プログラムの詳細は https://www.kbs.keio.ac.jp/graduate/emba/index.html を参照して下さい)。
EMBAは、土曜日が中心の2年制プログラムで、定員は40名、職務経験15年以上の中核ミドル人材を対象としています。1年目は、コア科目をケースメソッドで学び、職務経験に基づく知識を改めて体系化します。また、毎月、様々な領域で活躍する経営者やリーダーと対話し、経営トップが有する使命感や経営理念について考えます。海外トップスクールの講師による合宿形式のクラスや、海外での現地フィールドワークにより、グローバルな経営感覚を体得します。
2年目は、国内企業でフィールドワークを行い、経営全領域の知識を融合し、新たなビジネスモデルをトップに向けて提案します。並行して、EMBA向け基礎科目、ゼミ型の集中討議で知識を深耕した後、受講者全員で経済社会の課題と展望を総括し、2年間の学習成果として社会に発信します。EMBAプログラムは、様々な経験を有する中核ミドル人材が、異業種のクラスメートやフィールドワーク企業、自社にはない異文化と出会い、新たな環境の中で互いに学び合い切磋琢磨していく場です。
同時に、KBSはその伝統であるフルタイムMBAプログラムを強化し、国際社会で自らの考えを自信を持って発言し、海外の人たちと対等に議論出来る人材の育成に取り組んでいます。KBSは、これまでに蓄積してきた国際的なネットワークを活用・強化すべく、一昨年にトップスクールの連携団体であるPIM(Partnership in International Management)に日本で初めて加盟し、IP(International Student Exchange Program)とDD(Double Degree Program)を拡充しています。特にIPの連携に注力し、その提携校を、欧州、アメリカ、アジア、アフリカ、中南米へ広げ、2014年10月時点で各地域のトップスクール51校と提携を結んでいます。それに応じて、海外から受け入れる留学生も増え、キャンパスが国際化されています。また、IP参加への意欲をサポートすべく、留学にチャレンジできる語学力を養成する授業科目と体制の拡充に努めています。こういった国際化を進めることで、IPだけでなく、様々な国際的な共同研究プロジェクトやビジネスプラン・コンテストなど、KBSのプログラム全体を多方面で活性化することにつながっていくと期待しています。
企業や社会を取り巻く環境が変化しているならば、ビジネススクールもそれに応じて自らを変革していかなければなりません。中核ミドル人材向けのEMBAプログラム開設、フルタイムMBAプログラムの充実、それを支える研究体制の整備など、KBSに期待されている役割に応えるべく、一歩ずつ、着実に実行していきたいと考えています。同窓会からのこれまで以上のサポートに期待しています。